【再依頼の喜び】軟式オーダーグローブの「土手」を再調整して、最高の捕球感を。

以前ご依頼いただいた奈良県(最近東京にお引越しされたとのこと)のお客様から、先日、嬉しいことに再度のご相談をいただきました。

一度お届けしたグローブを通じて、こうしてまた頼っていただけることは、職人として何よりの喜びです。「前回の仕上がりが良かったから、今回も相談したい」という親御さんの温かいお言葉に、背筋が伸びる思いでした。

実際に使ってみて分かる「小さな違和感」

今回のご相談は、息子さんが使用されている軟式オーダーグローブ(ミズノ・グローバルエリート)について。 「実際に使ってみると、どうしても土手部分が高く感じてしまい、捕球時にボールをはじきやすいようです」というお悩みでした。

グローブというのは不思議なもので、ショップで手を入れた瞬間や、キャッチボールを始めたばかりの頃には気づかない「違和感」が、実戦で使い込むうちに顔を出すことがあります。これは、息子さんがそれだけ真剣にボールに向き合い、自分の型を模索している証でもあります。

なぜ「土手が高い」とはじきやすくなるのか?

グローブの「土手(手首に近い下部パーツ)」が厚すぎたり高すぎたりすると、受球面がフラットにならず、ポケットへの導入路が狭くなってしまいます。 特に軟式ボールは弾力があるため、土手部分に当たると勢いよく跳ね返ってしまい、「掴みきれない」という感覚に繋がりやすいのです。

職人としての提案:芯材(通称:あんこ)の加工

現物を確認させていただき、私は「土手部分の芯材を一部削除する」という加工を提案いたしました。

通常の型付け(揉み・叩き)だけでは、芯材そのものの厚みや硬さを根本から変えることはできません。思い切って内部の芯材を薄く、あるいは一部取り除くことで、土手部分に柔軟性を持たせ、グローブがより自然に、スムーズに閉じられるようになります。

再度、親指上部も加工

お客様に、土手加工の画像をお送りし、ご説明すると、親指上の芯材も加工してほしいと依頼がありました。「せっかくのオーダー品にメスを入れるのは……」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、大切なのは「飾っておくこと」ではなく「最高のプレーができること」です。親御さんもこの提案に深く納得してくださり、再度お預かりして調整させていただくことになりました。

使う選手に合わせた「生きた調整」を

私たちが大切にしているのは、単に型を整えることではありません。 そのグローブを使う選手の手の大きさ、握力、そして捕球のクセ。それらに合わせて微調整を繰り返す「生きた調整」です。そして、前回「湯揉み」をさせていただいたので、お客様は全体的に「柔らかい」と感じられるとのこと。よって、硬さを出してほしいとのことでした。硬化剤を使うのはお勧めしませんし、グリスの全交換をして、一度感触を見てもらうことにしました。それでも柔らかいならば、全紐交換をご提案しています。

今回の加工によって、土手周りは劇的にしなやかになり、ボールが吸い込まれるようなポケットが生まれるはずです。息子さんが次の試合で、自信を持ってアウトを取りに行く姿を想像しながら、一つひとつの工程に魂を込めて作業を進めております。

息子さんのためにと、細かな変化に気づき、相談してくださった親御さんの深い愛情。その想いに応えられるよう、最高の状態に仕上げてお戻しいたします。


「グローブのここが、どうしても手に馴染まない」 そんな小さな違和感は、調整ひとつで劇的に改善する場合があります。

もし、今お使いのグローブに少しでも不安を感じておられましたら、いつでもお気軽にご相談ください。あなたのプレーを支える「相棒」を、一緒に育てていきましょう。