【初心者向け】野球グローブの型付け方法と使いやすくするためのコツ
1.型付けの重要性
未使用のグローブは、手形の革と「あんこ」(芯)で成り立っており、縫い合わせと紐により一体化されています。どの部分も誤解なく言えば「同じ硬さ」と言えます。
しかし、プレーに要求されるグローブは最適化を要求されます。硬い部分と柔らかい部分に分けなければなりません。
本来は、使用者の好みに属しますが、間違った形になることを防止するために、最初から正しい革の「動き」を作ってあげることが「型付け」です。
私自身も野球選手(キャッチャー)として、複数(5つのメーカー)のキャッチャーミットを並行して使った経験があります。その中には、今も忘れられない「成功したグローブ(弱点もある)」と「失敗したグローブ(どうしてもいいプレーができない)」がありました。きっと皆さんのグローブ型作りの参考になると思います。
このグローブのおかげで、あんないいプレーができた、という思い出は今も残っています。皆さんもあるのではないでしょうか。
2.型付け前のグローブ状態
グローブの最初の状態は、革製品特有で、捕球面や全体がどっちの方向を見ているかも定かではありません。単に硬いというだけではありません。買ったばかりの革靴が履きづらいのと同じです。そのままその靴を履き続けると、本人の歩行の癖が革靴に現れます。
つまり、自身の動きの癖のままをグローブに与えない方が良いです。いいプレーには、要求される動きがあり、いい選手の道具には、いい「顔(向いてる方向)」があるとも言えます。
3.型付けの方法
まずは、可能な限り結ばれた革紐をほどき全体を緩めます。手にしたグローブの特徴を見定め、どこが長所で、どこが短所かを検討します。
最初は、背中からほぐしていきます。その場合、最後まで注意しなければならないのは、硬さ(グローブの骨)を残すことです。靴のかかとを踏まないのと同じです。一度折ってしまった骨は戻りません。
使用する道具は、金具の重いハンマーに布を巻いてガムテープで覆ったものです。木製のハンマーはポケットにのみ使用します。紐を叩いてほぐすことも大切です。革の向いている方向と逆に革を曲げてあげます。革に動きを作ります。
つぎにスチームボックスに「15秒」入れます。この作業工程を「5回」行います。一番大事なのは、捕球面を触らないことです。ここはボールを受けながら、形を作る箇所です。手では行いません。
スチームボックスは、複数の方法を試して、どのくらいグローブを入れておくか試行錯誤しました。革をどの程度湿らせ柔らかくするかは、「捕球音」をイメージするといいでしょう。捕球時に、「バーン」と高い音が出るように「硬さ」を残しましょう。柔らかくしすぎて失敗し、何度も後悔しました。
4.型付け後のグローブの状態と効果
型付けを終えると、グローブに「命」が宿ります。「いつでも捕球できるよ」と言っているかのようです。ボールが吸い付くような感じになります。そして、グローブ全体がどっちを見ているか、が明確になります。
そして、自動的に捕球面の「真芯」にボールが入るようになります。俗に、ボールがグローブの中で遊ばなくなります。また、グローブ顔の方向が定まったことで、グローブからボールを取り出す速度が増します。つまり、ボールがこぼれない形になります。広い捕球面ポケットに、ボールが一か所で止まる位置ができます。
5.まとめ
型付けの注意点は、革がもつ「骨」(芯)を折らないことです。強烈な打球に負けない芯を残すことです。柔らかくしたくなるのもわかりますが、硬さを残すことも大切です。
今回、型付けしたのは、軟式用投手モデルでしたが、とても難しかったです。もともと軟式用の革は、硬式用に比べ最初から、柔らかめの革が使われています。よほど高価で硬めのものもありますが、まれです。
軟式用グローブの型付けの難しさは、グローブに「強弱」をつけづらいことです。どうしても全体が柔らかくなりがちです。
グローブには、自分の動きのクセが出ます。特定の動きに制約されるようなグローブは、悪いプレーを誘発します。ぜひ、型付けの大切さを理解し、われわれ専門家にご相談ください。
革のグローブは、様々な形をつくり、自分に合った道具を育てる楽しさもあります。愛着がわき、相棒と呼べる存在になります。
質問があれば、弊社までお問い合わせください。